骨が土に還る

元来、日本では土葬でした。

死んだ身体は、土に生存するバクテリアの作用などによって、より土に近くなり、長い時間をかけて土に還っていきます。

それは人間だけが特別ではなく、野に咲く花も空を飛ぶ鳥も同じように土に還ると言うことです。

では魚は?と聞く御仁が必ずいると思うのであえて言えば、海にも海底があり、そこは土です。

岩かもしれませんが、限りなく土です。

そこへ行きつくまでに他の魚や生き物に食べられてしまうかもしれませんが食物サイクルとして、いつかは土に還ります。

戦後、土葬するスペースも少なくなり、衛生上の観点から、火葬が主になりました。

それでも、骨導の下は土であり、狭いながらも骨は土に還っていくものです。

しかし、骨壺文化のある土地やお墓の納骨堂が広い場合、骨壺に単独に納められて、一向に土に還れないお骨もある。

また、墓石屋さんによっては、納骨堂を全部コンクリートで固めてしまい、結露などで水がたまり、骨壺から出したにもかかわらず、これまた土に還れない骨もあるようです。

さらに今、納骨の手段として都会のビルにマンション型で、エレベーター機能付きで、お参りの時だけ骨壺に入った骨が運ばれてくる納骨堂もあります。

ただ、これに関しては永久に土に還ることはできませんね。

昨今、墓じまいが取りざたされているように、いつ自分の家の子孫が絶え、無縁墓になるかわからない時代でもあります。

菩提寺に合葬されるよう生前に手配しておけば土に還れますが、誰にも顧みられず永代供養すら忘れられた荒れた墓は、一定規模の墓地に行けば散見されます。

菩提寺でも、継承者を探すのだけれど、個人情報法が施行されてからは、それも次第に困難になってくるのではないかと、老婆心ながら心配です。

因みに、散骨もいわゆる土に還る方法です。

「還る」。

輪廻。

海であれ川であれ、大地であれ、人は自然の成り立ちによって土に還ることができると思うのです。

ですので、生きてる者の便利ではなく、土に還す方法を模索できないものなのかな、と個人的に思えてなりません。

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2018年12月18日 | コメントは受け付けていません。 |

カテゴリー:日々雑感

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